診療内容
漢方外来
「病気は治ったといわれるけど、症状はよくならない」「なんとなく身体の調子が悪いけど、頑張って仕事(家事)をしている」「体が冷えてつらいけど病気ではないし」といったことはありませんか。
西洋医学の進歩により、がんや脳卒中などのともすれば死んでしまう病気は徐々に減ってきていますが、死ぬことはないが不調が続いて生活の質が悪い方はたくさんいると思います。
漢方医学の世界では、このように完全に健康ではない状態を未病(いまだ病まず)と捉え、患者さんの体質を考慮して漢方薬を与えることで、体質を変え病気になりにくい身体をつくることが可能です。
当院では保険適用の漢方薬(漢方エキス剤や煎じ薬)を使った漢方外来を行っています。
気になる症状やお困りのことがありましたら、お気軽にご相談ください。
診断方法
漢方では、同じ症状、例えそれが西洋医学では同じ病気でも、一人一人の状態によって用いる薬が異なります。そのため漢方専門医は、みなさん一人一人の身体を漢方医学的に診察し、みなさんの症状や体質に合った漢方薬を処方するとともに、体調を整えるために必要な養生法についても指導します。
漢方専門医の診察風景を簡単に紹介してみましょう。
まずは「望診(ぼうしん)」という診察です。
あなたの全身をみて、顔色や姿、立ち居振る舞い、皮膚の状態などをみます。
その後「問診(もんしん)」に移り、症状はもちろんのこと、必ずあなたの体質について聞きます。例えば、暑がりか、寒がりか、疲れやすいか、汗をよくかくか、便の状態はどうか、イライラしたり落ち込んだりするかなど、多岐にわたります。
その際、声の調子や話し方にも関心を払う「聞診(ぶんしん)」という技術も用います。
そして漢方独特の診察をします。
まず「舌診(ぜっしん)」で、舌の色や形、苔などをみ、次に「脈診(みゃくしん)」で、両腕の脈をみて、 さらに「腹診(ふくしん)」でお腹を丁寧に診察します。
こうした漢方医学独特の診察を行って、みなさん一人一人の今の状態にどの漢方薬が最も適切かを見極めます。こうして、あらゆる具合の悪さや病気で悩み苦しむ方々に、現代医学とは異なる方法で、症状の改善もしくは治癒を目指す最適な漢方治療を提供します。
診療対応する症状
- 風邪の諸症状
- 下痢・便秘・痔
- 胃炎・腹痛・吐き気
- からだの痛み
(肩こり、腰痛、筋肉痛、関節痛) - 女性に多い症状
(冷え性、生理痛、更年期障害) - 肥満症・むくみ
- 尿のトラブル
(頻尿、残尿感、排尿痛) - 花粉症・鼻炎・鼻づまり
- 疲れ・体力低下
- 不眠・不安
漢方治療に関するよくある誤解
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- 治療費が高額になるのでは?
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漢方薬は、西洋薬と同じように保険診療での処方ができます。
お薬の種類や量によって異なりますが、3割負担の方で30日処方の場合、月に2000円~3,000円です。
処方料などもありますので、もう少し費用はかかりますが、「思ったほど高額ではないんですね」とよく言われます。
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- 効果が出るのが、ゆっくりなのでは?
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「漢方薬は、体質改善のお薬なんですよね?」「効果が出るのに、何ヶ月もかかるのでは?」 と言われることがあります。しかし漢方薬の中には救急外来で使われることもあります。
すぐに効くお薬もあれば、ゆっくりと効くお薬もありますので、症状やご希望にあわせて調整することができます。
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- 煎じ薬とエキス剤の違いは?
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漢方薬には代表的なものとして煎じ薬とエキス剤があります。煎じ薬の方が効果が高く、生薬単位での加減が可能で、より患者さんの体質に合ったブレンド(調整)が可能です。ただし、1日1回あるいは2日に1回程度、生薬を煎じる手間(40分間程度)が必要です。エキス剤は生薬を煎じたものをインスタントコーヒーのように加工したものです。煎じる手間が必要なく、携帯に便利で簡便ですが、病態に合った微妙なさじ加減は難しいです。
病気の緩急・軽重、患者さんのライフスタイルに合わせて、煎じ薬・エキス剤を選択するのが賢いといえるでしょう。
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- 飲みにくそう。
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確かに漢方薬というと「苦い」と思われている方も多いようです。しかし、さっぱりした味や甘い味の漢方薬もあり、思ったよりも飲みやすかった、と言われる患者さんが大半です。特に身体に合った漢方薬を飲むと、患者さんのほうから「漢方薬が美味しかった」と言われ、味や香りも薬効のうちと考えられています。そうはいっても中には苦い薬もありますので、味やにおいに関しても患者さんと相談しながら治療をすすめていきます。